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想定為替レート(2014/3期の傾向)

2013年5月9日

GW明けの週は、日本企業の前期(2013/3期)の本決算発表がピークを迎える。前期決算とともに今期(2014/3期)の業績予想が次々と公表される。為替の値動きが極めて激しい中、各社の業績予想だけでなくその前提となる"想定為替レート"が市場の関心を集めている。

想定為替レートは、事業計画の策定ならびにその情報開示を目的に、会社が予想する今期の為替レートである。
上場企業は、今期の売上・利益に関する業績予想を、前期の決算書に含めて開示している。会社の業績予想は、海外との貿易や在外子会社の事業に伴う外貨建ての予想額を円に換算のうえ、国内取引などに伴う円建ての予想額と合算する。
その際に外貨額は、今期の期中平均為替レートとして見積もった想定為替レートを用いて、円貨額へ引き直す。

今期の輸出企業の想定為替レートは、ドル/円は90から95円、ユーロ/円は120から125円が主流である。これらのレート水準は、一般にどのように決定されるのでしょう?


想定為替レートの見積もりは各社の裁量に任されているが、決算発表の数週間前の為替相場の値動きを最も重視してその水準を決定するケースが多い。
例えばドル/円は、前期末(2013年3月末)の東京市場終値は94.04円に対し、今期になって円安が一段と進行し4月11日には一時99.94円。おおむねその時点で、2週間後(4月25日)以降の本決算発表に備え、5から10円程度保守的に90から95円と定めたのが上記主流派と見受けられる。
会社の想定為替レートの見積もりが保守的なのはなぜでしょう?

輸出企業は、実際の為替レートが想定為替レートよりも平均的に円安となった場合に、業績面で追い風を受ける。外貨建て取引の円ベースでの売上増や為替差益の貢献により、利益が予想を上回り上方修正への要因となるからだ。
逆に、想定為替レートに劣る円高状態が続いた時は、円ベースでの売上減と為替差損が響き、下方修正につながりやすい。
会社は、市場がネガティブ(株価への悪材料)に受け止める下方修正をなるべく避けたい。上方修正した場合の評価の向上度よりも、下方修正を余儀なくされた時の風当たりの方がはるかに強いからだ。
結果、会社の見積もる想定為替レートは、平均的な将来見通しよりも保守的な傾向が観察される。

輸出企業のドル/円の想定為替レートは、前期の主流は当時の市場実勢よりも1から3円の円高(2012年4月11日の実勢80円台後半を踏まえ2013/3期想定為替レートは78から80円)に対し、今期のそれは上記のように実勢比5から10円も円高水準と保守化傾向が強まっている。
会社が今期の想定為替レートを一段と慎重に見積もっているのはなぜでしょう?

過去1年間のドル/円の値幅(市場の高値と安値の差)は23円で、その前の1年間(値幅10円)から大きく拡大している。為替の動きが激しくなる中、今期の想定為替レートが期中平均為替レートに負けないよう、会社は従来よりも慎重な姿勢でいっそう保守的な水準でもって想定為替レートを打ち出している。
よって今期は、実際の為替レートが緩やかなペースで円高方向へ戻らない限り、四半期毎に想定為替レートが修正されてゆくと予想される。輸出企業の業績予想は、想定を上回るペースでの円高は下方修正、さらなる円安は上方修正への要因となる。
為替レートの不確実性が企業の業績と株価を一段と大きく左右する年度となりそうだ。

株式会社アナリスト工房