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日本株の課題(企業収益力の格差)

「貴社の電機業界従業員向け再就職支援事業が好調ですが、主な再就職先は?」
「当社(弊社)です」
~2013年2月:某派遣・請負会社の決算説明会の質疑応答を抜粋・要約~

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上場企業の2012年10-12月期の決算が出そろい、今期(大半を占める3月決算の企業は2013/3期)の業績予想の更新が一段落した。円安進行に伴い輸出採算改善への期待感から足元の株価は堅調だが、企業業績が今ひとつ振るわない。
円安の波に乗り業績予想を上方修正した会社は脚光を浴びているが、これまでの不振から脱却できず下方修正した会社も実は数多く観察されるからだ。特に、属する株価指数による利益伸長の格差が目立つ。

指数別に今期の会社予想の純利益は、日経平均(日本を代表する225社)が前期比29%増、TOPIX(東証1部上場の約1,700社)が同19%増、東証2部総合指数(東証2部上場の約400社)が3%増(数字はいずれも2013年2月20日時点:以下も同様)。時価総額による企業収益力の格差が鮮明だ。


出所】会社予想の業績、日本経済新聞の株価データに基づき(株)アナリスト工房が作成

日経平均銘柄は、円安の追い風に加え米国と東南アジアでの販売を伸ばしている自動車業界の上方修正が大きく貢献。前期の法人税率の引き下げに伴う税効果要因(2012年1-3月に繰延税金資産の取り崩しによる下方修正が続出したこと)の反動を考慮しても、まずまずの利益伸長の見込みである。
一方でTOPIX銘柄は、半導体材料とパソコン部品の販売数量・価格が落ち込んでいる素材・電子部品業界などの下方修正の影響により、今ひとつ伸び悩んでいる。東証2部銘柄に至っては、前期の税効果要因の反動を加味すると、今期は実質減益の公算を意味する。

にもかかわらず、足元は上記3つ株価指数ともに前期末(2012年3月末)から一律13%価格上昇している。さらなる円安の進行と将来のデフレ脱却への期待感のみで日本株が買われ、買い手の大半は日本企業の業績が実は価格伸長に見合っていないことに気づいていない。
他の先進国の代表的株価指数のPER(株価収益率:予想純利益に対する株式時価総額の倍率)が米・独・仏・英国ともに11-12倍台のなか、わが国の上記3つの株価指数は16-20倍台と割高感が強い。このままでは、日経平均以外は現在の高値水準を維持してゆくのは難しい。

そもそも、足元の好材料の前提となっている将来のデフレからの脱却でさえ、冒頭のシーンから伺い知れる電機業界の従業員の再就職後における大幅賃下げを考慮すると、実現への道筋はまだまだ見えてこない。
電機業界の時価総額は、東証1部のなかで今もなお自動車業界に次ぎ第2位と高いウェイトを占める。そのリストラ後のV字回復と、去ってゆく従業員が現行賃金以上の再就職先を見つけられるまでの雇用情勢回復が、株価堅調の持続への課題となろう。

2013年2月21日