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"コロナ放置国"の最強通貨クローナ

国際非難に負けず、集団免疫を貫くスウェーデンの通貨は上昇率No.1

2020年8月20日(木)アナリスト工房

新型コロナに対しスウェーデンは、国民の大半に免疫力を付けさせることによる疫病克服策「集団免疫」を、流行当初から一貫して実施してきた。
高齢者施設への訪問と50人超の集会が禁じられた一方、マスク着用の義務はなく、国民の圧倒的多数がノーマスク姿のまま。ロックダウン(都市封鎖)は実施されていない。飲食店は通常営業を貫き、店内の様子はまったく従来どおり。.義務教育の小・中学校は登校での平常授業を続け、生徒の親たちは安心して勤務先に出勤できる。

スウェーデンの集団免疫の政策は、疫病流行時の規制を必要最小限にとどめ、国民にほぼ従来どおりの社会生活を営むよう促す。すると、国民の大半が生活のなかでウィルスに触れたり感染のうえ免疫力を獲得し、そのウィルスおよび似たウィルスを撃退できるようになる仕組みだ。

新型コロナウィルスは、典型的な風邪やインフルエンザと同様に変わり身のはやい「RNAウィルス」に分類され、ウィルスの形が次々と突然変異していく。しかも、風邪やインフルに続き社会に常在し始めたコロナのウィルスは、都市封鎖された空間にも漂っているため、ロックダウンでは回避できない。
そこで、スウェーデンの集団免疫策の狙いは、ウィルスに接触・感染して得られる免疫力が変異後の似たウィルスを退ける仕組み「交差免疫」を、国民の身体に日常生活を通して導入することにある。

国民をあえてウィルスにさらす集団免疫は、ロックダウンを推進する米欧のディープステート(反トランプ抵抗勢力。とくに都市封鎖のなかで人々に恐怖を与えながら高価な治療薬とワクチンを売り付けたい製薬利権)から、「命の選別」、「ウィルスに対する敗北宣言」との非難を浴び続けた。
集団免疫策に前向き姿勢だったイギリスとドイツは、国際非難と圧力に屈し、その政策採用を断念。GDP上位国のなかでは結局、スウェーデンだけが集団免疫の実施に踏み切った。

執ような誹謗中傷に負けず集団免疫策を貫き通してきたスウェーデンは、ついに新型コロナ騒動終息への明るい展望が開けてきた。スウェーデンのコロナ死者数は、ピークの4月に対し7月が81%減少、足元8月が前月比8割減少のペースで絶好調に推移している(下記)。

【スウェーデンの新型コロナ死者数*)2020年】 8月19日時点
人口百万人あたり
〜3月:14.3人、4月:226.4人、5月:189.0人、6月:89.4人、
7月:41.9人、8月1〜19日:5.0人

とくにポジティブなのは、スウェーデンの感染者数も顕著な減少傾向であること(人口百万人あたりで記すと、ピークの6月:2987人→7月:1215人→8月1〜19日:500人:*)。死者だけでなくその候補としての感染者も激減が続いていることから、年内にスウェーデンはコロナ騒ぎをほぼ克服できる可能性が高い

為替市場の参加者は、その点を高く評価している。スウェーデンの通貨クローナは、3月に付けた対米ドルの年初来安値(1ドル=10.5086クローナ)に対し、8月18日には一時なんと22.0%高の水準(1ドル=8.6111クローナ)まで年初来高値を更新した。

一方、基軸通貨ドルの発行国アメリカは、新型コロナの深刻度No.1。いったん減少した米コロナ死者数は、6月を底に再び著しい増加基調(下記)。とくにその点が、米ドルには痛いネガティブ材料だ。

【アメリカの新型コロナ死者数*)2020年】 8月19日時点
人口百万人あたり
〜3月:9.7人、4月:177.6人、5月:130.8人、6月:68.3人、
7月:79.2人、8月1〜19日:60.3人

また足元8月のアメリカの感染者数は、ピークの7月に対しわずか15%下回るペースでの減少にすぎない(人口百万人あたりで記すと、6月:2505人→ピークの7月:5818人→8月1〜19日:3016人:*)。跳ね上がった後の感染者数が依然高水準なアメリカのコロナ騒動は、まだまだ長く続きそうだ。
為替市場では、その点が米ドル急落の大きな要因。ドルのさまざまな通貨に対する為替レートを指数化した「Bloombergドル指数」は、3月に付けた年初来高値に対し、8月18日には一時なんと10.3%安の水準まで年初来安値を更新した。

以上の結果、集団免疫策を貫き新型コロナ死者および感染者の激減傾向が鮮明なスウェーデンの通貨クローナが、GDPランキング上位国通貨のなかで年初来上昇率が首位となった(下図)。

【主な通貨の年初来騰落率**)2020年】8月19日時点
    ・スウェーデンクローナ(SEK): 6.53%
    ・スイスフラン(CHF): 4.58%
    ・欧州ユーロ(EUR): 4.54%
    ・日本円(JPY): 1.35%
    ・豪ドル(AUD): 1.29%
    ・ポーランドズロチ(PLN): 1.07%
    ・中国元(CNY): ▲0.38%
    ・サウジリヤル(SAR): ▲0.95%
    ・米ドル(USD): ▲0.98%
    ・英ポンド(GBP): ▲2.17%
    ・カナダドル(CAD): ▲2.67%
    ・韓国ウォン(KRW): ▲3.12%
    ・インドルピー(INR): ▲5.53%
    ・インドネシアルピア(IDR):▲7.06%
    ・メキシコペソ(MXN): ▲15.18%
    ・ロシアルーブル(RUB): ▲16.17%  
    ・トルコリラ(TRY): ▲19.14%
    ・ブラジルレアル(BRL): ▲28.28%

2位のスイスフランの発行国は、感染者数が低レベル範囲内での増加基調の一方、6月以降の死者数が低位安定している(人口百万人あたり月3人程度:*)。3位の欧州ユーロが流通する主要国(ドイツ、フランス、イタリア)は、死者が顕著な減少続きの一方、7月以降の感染者の増加が目立つ(とくにフランス)。
なお、春には圧倒的な最強通貨だった米ドルは、新型コロナの死者数のリバウンドと感染者数の高水準続きが市場に嫌気され、いつの間にか年初来騰落率の順位がすっかり後退した(上図)。

このように今年の為替市場では、通貨発行国の新型コロナ政策とその成果を最重視する「コロナ相場」が展開中。すでに多くの市場参加者は、風邪やインフルの場合と同様にコロナの流行に伴う騒動時には、スウェーデンの実践どおり国民が普段のライフスタイルを貫く集団免疫が早期終息への最良策であることに気づいただろう。

アナリスト工房2020年8月20日(木)記事
(2020年8月21日(金)2つめの脚注追加)

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*)新型コロナの死者数と感染者数は『Our World in Data』に基づく。
百万人あたりのコロナ死者数を計算するとき用いた人口は、IMF(国際通貨基金)の『World Economic Outlook Database October 2019』に基づき、スウェーデンが10.23百万人、アメリカが327.35百万人、スイスが8.48百万人。
**)年初来騰落率は、米ドルがBloombergドル指数(BBDXY)、それ以外の通貨がBloombergドル指数および各通貨の対ドルレートに基づく計算値。