2014年1月9日(木)
ドラマ『半沢直樹』の主人公のように勤務先で暴れたわけでもないのに、筆者のメガバンク時代の元同僚(40代のアナリスト)は、系列の証券会社へ出向してしまいました。
出向先のPB(プライベート・バンキング)部署で個人富裕層向けビジネスを担当する近況を伝える年賀状の直筆文字は、いかにも不安で心細そうな印象です。
証券アナリスト協会が昨年6月にPB資格試験を始めた影響もあって、PB分野に関わるアナリストが増えています。
金融商品の分析が専門のアナリストは、個人顧客の資産運用をサポートするPBビジネスにどのように関わっていったらよいのでしょうか?
PB分野の中心を占めるWM(ウェルス・マネジメント)では、顧客のライフプランに合わせて資産運用を設計してあげることが大切です。
どの程度のリスクをとって何%のリターンを目指すかの運用方針を決める前に、顧客のライフステージ毎(在職時・引退後・相続後)のプランをつくる必要があります。
なぜなら、そのプランニング作業で描く資金計画(各ステージの資金収支のキャッシュフロー表)がなければ、将来の必要資金をまかなうための資産運用の方針を定めたくても定めようがないからです。
最初のステップのライフプランニングでよくある事例は、PB顧客の引退後の収入が支出を下回るキャッシュフロー赤字の状態が続き、このままでは財産が枯渇してしまう危険に気付くことです。
特に、在職時の収入が中途半端に多い顧客にはご注意下さい。まずまず稼いでいても本人と家族がそれだけ使ってしまう傾向が強いため、彼らが引退後に備え十分な財産をあらかじめ蓄えておくことはなかなか難しいからです。
財産に余裕資金がない限り、リスクをとっての資産運用はもってのほかです。このままでは次の資産運用のステップへ進めません。
顧客が運用できる状態にもっていくためには、ライフプランの資金計画を見直す必要があります。このような事態に直面した時、計画の見直しはどのように行なったらよいのでしょうか?
資金計画の背景にある顧客の信条・価値観と目標・指針を損なうことなく、その将来キャッシュフローの赤字幅を縮小し、財産枯渇の危険を解消することが大切です。
ちなみにPB顧客の資産運用の方針では、リスクとリターンだけでなく、彼らの歩んできた人生の中で形成された信条・価値観と、将来の様々な事柄(事業運営、相続・事業承継、冠婚葬祭など)に関する目標・指針が重視されています。
運用方針に先立つ資金計画においても、顧客それぞれの信条・価値観と目標・指針を尊重することの必要性はもちろん同様です。
その点に注意しながら、企業のキャッシュフローを的確に読み取りその改善策をアドバイスしてきたアナリストのノウハウでもって、PB顧客の資金計画のキャッシュフローを見直し将来の危険を回避させましょう!
見直すことによる改善効果の大きいのは、高額の費用支出です。その中で顧客の視点でみても無駄あるいは従来よりも小額で済みそうなものは、支出削減の候補となります。
特に冠婚葬祭の「葬」の世界は、有力候補の宝庫です。
「終活のリスクを改善しよう(PB分野)」へ続く
株式会社アナリスト工房