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退職給付会計3("即時認識"とは?)

2012年6月4日


改正後の退職給付会計(2012年5月17日公表の「退職給付に関する会計基準」)の最大の骨子は、未認識債務の即時認識にある。従来オフバランスの未認識債務(積立不足)を速やかにB/Sで認識することで、会社の財政状態の表示を改善させる。

適用時期は2014/3期(2013年度の本決算)からと、新たな会計基準の実施までに約2年の猶予が設けられており、日本企業の財政状態へ与えるインパクトはそれだけ大きい。未認識債務の即時認識の影響は、負債だけにとどまらず、純資産と資産にも波及してゆくからだ。
現在のB/Sには載っていない未認識債務は、将来は一体どのようにB/S計上されるのだろう?

まず、退職金・年金制度で会社の抱える「退職給付債務」からそのために運用する「年金資産」を控除した純債務のうち、今も負債の部にある「退職給付引当金」だけでなく、新たに未認識債務も負債計上する。
退職給付引当金と未認識債務とを合わせた純債務の総額が、新たな勘定「退職給付に係る負債」として認識されるようになる。


また未認識債務は、会社の背負う債務であるのと同時に、その大半が年金資産の運用で抱える含み損(数理計算上の差異)で構成されている。含み損としての性質もあるため、純資産の部のOCI累計額(その他包括利益累計額)にも反映させる。
持合株の株価下落での含み損や在外子会社の純資産に係る円高での含み損と同様に、従来の未認識債務もOCI累計額にマイナス計上する(勘定名:「退職給付に係る調整累計額」)。その際に税効果を加味して税引後の含み損額を計上することに伴い、資産の部に繰延税金資産が併せて生じる。

以上の新たな会計処理を実際に適用した時、日本企業の財政状態への影響は具体的にどのようになるのだろう?