米暴力デモ鎮静と雇用水増し統計

金銭目的の悪いデモ隊の募集が失敗。人種差別反対デモは健全化

2020年6月11日(木)アナリスト工房

米ミネアポリスの白人警官が黒人ジョージ・フロイド氏を偽札使用の疑いで捕獲したとき絞め殺した事件(5月25日)に抗議するデモは、フロイド氏追悼とは関係ない反トランプ抵抗勢力(ディープステート)が悪乗り。一部の悪質なデモ隊(極左テロ組織「ANTIFA」など)が警官殺害や店舗破壊・略奪を行なった5月最終の週末は、全米多数の主要都市が深刻な治安状態に陥った。

6月最初の週末に向けて、悪質な一部のデモ隊を操る反トランプ抵抗勢力は、時給35ドルの求人条件でデモ隊メンバーを募集開始。しかし直後、投資家ジョージ・ソロス氏のオープン・ソサエティ財団は、暴動を伴うフロイド氏追悼デモへの資金支援疑惑をわざわざ否定した(6月1日公表)ため、ますます疑惑を強めた。

悪いデモ隊を操る輩へのけん制が効いたのか、以後は暴力的な無法デモが急速に鎮静。人種差別反対を唱え行進する平和的で健全なデモ隊が、全米各地の圧倒的多数を占めるようになった。

<金銭目的のデモ隊への報酬相場>

・トランプ大統領就任直後の反トランプデモ:月2500ドル

・17年8月のシャーロッツビル事件(南北戦争の英雄リー将軍の

像撤去を阻むトランプ支持者への抗議デモ):時給25ドル

・フロイド氏追悼とは関係ない一部の暴力デモ:時給35ドル

アメリカでは、白人警官による黒人容疑者殺しが茶飯事。大統領選を控えたいまの時期に、ジョージ・フロイド氏事件が大きな社会問題と化し治安悪化を招いた舞台裏では、米議会が「オバマゲート事件(オバマ前政権が諜報機関などと共謀しトランプ政権の政策遂行を妨害した事実)」の真相解明を進めている。

米司法省は5月7日、「ロシア疑惑(民間人には禁じられているロシアとの外交交渉を就任前のトランプ政権が行った疑い)」をでっち上げられ辞任したフリン元大統領補佐官へのFBI捜査が不当だった(訴追できるよう嘘をつかせた)と判断し、起訴を取り下げた。以後、上院司法委員会が公聴会を立ち上げ、ロシア疑惑発のオバマゲート事件に関する証人喚問が6月3日から始まった。

オバマゲートの最大の注目点は、バイデン前副大統領がトランプ政権の外交政策妨害へ大きく関与していた実態だ。フリン氏の通話記録など機密情報を明かすようNSA(国家安全保障局)へ要求したオバマ前政権メンバーたちの最上位者は、前政権No.2のバイデン氏だった(NSA開示資料 May 20th 2020)。

その要求日(17年1月12日)がトランプ大統領就任のわずか8日前であることから、期間内に処理できなかった当時のオバマ政権は、フリン氏への疑惑を強引にでっち上げ、トランプ外交を妨害する嫌がらせに踏み切ったと推察される。

また、ジュリアーニ元NY市長(いまはトランプ氏の顧問弁護士)の調査によると、オバマ政権時のバイデン氏は、息子のハンター氏をエアフォース2(副大統領専用機)に乗せ、ウクライナにあるハンター氏のガス会社を15億ドルで中国の国営企業に売り付けた。バイデン親子が収賄により私腹を肥やした疑いが、すでに主要メディアFOXなどを通して全米に知れ渡っている(下記)。

「バイデンは、2013年12月に息子のハンターをエアフォース2(副大統領専用機)に乗せ中国へ飛び、ハンターの会社を計15億ドルで売り付けた記録を公開することに同意すべきだ。中国が交渉合意のために、副大統領へその資金を支払った疑いがある」

ジュリアーニ元NY市長(Sep 25th 2019)Twitter

「バイデンの息子は中国から15億ドルを受け取った。(中略)米副大統領は中国に買収されたのだ!」

ジュリアーニ元NY市長(Sep 25th 2019)FOXのインタビュー

アメリカで一時深刻化した暴力デモは、さらし者になっているバイデン氏を11月の大統領選で無理やり当選させるために、反トランプ抵抗勢力がトランプ大統領不利になるよう社会情勢悪化を狙って仕掛けた裏工作とみてとれる。逆立ちしても無理な目的のための理不尽な工作活動は、失敗に終わって当然だ!

▼実態に反し雇用増大を表す統計結果を目標に、米経済活動は加速へ

トランプの天敵の悪あがきは、アメリカの社会情勢を直接反映する雇用統計を通して、市場・経済に対しても大きな影響を与えた可能性が高い。

5月の米雇用統計(6月5日公表)は、失業率が13.3%(前の月は14.7%)、非農業部門の雇用者数が前月比250.9万人増。毎週数百万人の新たな失業者が失業保険を申請した事実に反し、なんと雇用情勢改善との結果が導かれた。雇用統計を手がけるBLS(労働統計局)によると、統計と実態がかい離した主な原因は次のとおり。

<5月の米雇用統計が労働実態とかい離した原因>

・ロックダウン(都市封鎖)の逆風のもと、新規ビジネスなどにより

史上最大の新たな雇用34.5万件が創出されたとの見積もりが怪しい.

・失業者とみなすべき一時解雇中の多くの人々が、病欠など「その他

の理由」により休暇中と回答したため、就業者として分類されている.

→真の失業率は公表値(13.3%)よりも約3ポイント高い

このような幻の雇用創出と労働力人口の一部振替(失業者→就業者)を考慮しても、5月の雇用統計結果は失業保険の申請状況などに基づく市場予想(失業率20%、非農業部門の雇用者数750万人減)と著しくかけ離れている。他にもさまざまな統計操作(不適切な季節調整、恣意的な推計モデルなど)が駆使され、雇用がたっぷり水増しされた可能性が高い。

そんな雇用統計の発表直後、悪乗りした株式市場ではNASDAQ総合指数が史上最高値を更新。「こんな(雇用統計の)数字は信じられない!」とツイートしたトランプ大統領も、直後の記者会見では「今日はアメリカ史上最高の復活の日だ!」と称えたうえ、雇用促進のための給与税減税とさらなる景気刺激策を計画していることを表明した。

水増し雇用統計と高値圏の株価水準に見合ったアメリカ経済を復活させるためには、すでに全米で再開し始めた経済活動を勢いよく加速するしかない

幸い、人種差別反対を唱える民主党支持層のデモ隊は、ロックダウン解除を勝ち取った共和党支持層のデモ隊と同様に、ノーマスク姿でかつソーシャルディスタンス無視の人々がずいぶん多い。すでにアメリカ人の大半は、経済活動を阻む最大の障害だった「新型コロナに対する過度の恐怖症」から無事卒業した。

アメリカ経済重視のトランプ氏の狙いどおり、経済加速が軌道に乗る日は近いかもしれない。

アナリスト工房 2020年6月11日(木)記事